貴重な資源「皮白竹(カシロダケ)」

全国でも福岡県の八女市、うきは市の一部にしか群生していない「竹」があるのをご存知でしょうか。

「皮白竹」という竹です。

真竹の変種で竹皮に斑点が少なく、福岡県の八女市、うきは市の一部にしか群生していません。白黄色の優美な色合いと加工しやすい竹皮は全国の竹皮工芸に使われてきました。地元では白竹(しらたけ)と呼ばれ親しまれています。

 

皮白竹の3大特徴

1 .表面が白く、斑点が少ない

美しいその見た目から、最高級品の畳表として舞子さんの「こっぱり」や茶道具の羽箒に使われています。

2 .生息地は、八女・うきはの一部のみ

旧藩時代には領外へ株を持ち出すことが禁止されていたため、奥八女とうきはにしか分布していません。

3 .繊維が立っている

見た目の美しさだけでなく他の竹皮より筋目の凹凸が強いため、昔からばれんの芯に使われています。



\皮白竹の歴史/

当時の竹皮産業と生活

皮白竹は、他の地域にはない特殊性から上等の履物や、その他の工芸に使われ東京・大阪へ高値で出荷されていました。有馬藩の収入源として藩外への持ち出しは固く禁じられていたほど貴重なものだったのです。明治30年頃から大正初期までは専門の竹皮商がいるほど商売が盛んに行われていました。当時は、奥八女の山間部には裸足で入れるほど整備された美しい竹林が広がり、家の軒先には拾った竹皮が干され、簾のように下がる風景が見られたそうです。昭和初期ごろまで竹皮は生活の中でなくてはならないものであり、草履表や笠、殺菌作用があることから肉や魚、お弁当の包み紙など食品の包装紙として日常的に使われていました。成長の早い竹は、食用としての筍から竹皮、竹を材料とした生活用品や工芸品など幅広い用途があり、一大産業としての歴史があります。


荒れ放題の竹林とつくりての地道な活動

現代では、時代の流れと共に竹を取り巻く環境は大きく変化しています。プラスチック製品が出回るようになり、竹皮・竹細工の需要が減っています。全国有数の筍の産地である福岡県は、多くの竹林を有し、筍、竹皮だけでなく八女竹細工が盛んです。八女地域で竹細工に関わる人は500人ほどもいましたが、今では数えるほどの職人しか残っていません。利用されなくなった竹林は放置され、また管理者の高齢化も伴って荒れ続け、他の土地までも侵食する悪循環を引き起こしています。産業として成り立たなくなった竹皮商は廃業し、竹皮拾いをする人もいなくなりました。材料供給に困った全国の竹皮工芸作家たちは、遠く群馬や神奈川から足を運び、自分達で竹林整備・竹皮拾いを始めた人たちもいます。こうした地道な活動はなかなか知られることはなかったものの、徐々に協力者が集まり、皮白竹の使い手と産地を繋ぐ活動が続けられ、産地での認知も少しずつ広まっています。

 

次回、竹皮編みワークショップ体験記録

 

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